チョコみかんぶりのお寿司
チョコみかんぶりのお寿司

 まもなく2月14日、バレンタインデーがやってきますね。

 筆者も中学生の頃には「今年はチョコレートもらえるかな?」「できればあの娘からもらえるとうれしいな…」「あいつには絶対に(数で)負けたくない」と前夜からいろんな感情が渦巻いて、なかなか寝付けないほど意識していました。それなのに当日になると「別にそんなことは気にしてもいないよ」とクールに装ってみたりと、思春期の真っただ中の複雑でめんどくさい思い出がいっぱいです……。

 いきなり話がそれましたが、昨年のバレンタインデーの季節に、くら寿司では「チョコぶり」のお寿司を発売して話題になりました。

「チョコぶり」と聞いた多くの皆さんの第一声は「チョコぶり? 甘いんですか?」というものでした。

 残念ながら、「チョコぶり」は甘くはありません。愛媛県の宇和島で、チョコレートを混ぜた餌を食べさせて養殖しているブリなんです。

 なぜチョコレートを食べさせるかというと、チョコレートに含まれるポリフェノールの抗酸化効果で、ブリの身の劣化を遅らせることができるんです。ブリのアンチエイジングと言えばいいでしょうか。

 通常ブリの切り身は、2日も経つと血合いの部分が黒ずんでくるのに対して、チョコぶりの切り身は、5日経ってもきれいな色をしていました。

 だからといって、くら寿司ではそんな古い切り身を出しているわけではありませんのでご安心ください。

 チョコぶりを開発している愛媛県と宇和島プロジェクトさんは、海外に輸出するためにこのようなブリを開発されているとのことです。

 筆者も取材の立ち合いで、チョコぶりを養殖しているいけすを宇和島まで見に行きました。餌やりの時間になると、ブリたちが水面から飛び出す勢いでバシャバシャとチョコレート入りの餌を奪い合っていました。

 試しに、チョコレートだけをやってみると、一瞬口には入れますが、すぐにぺっと吐き出してしまいます。やっぱりチョコレートだけでは食べてくれません。餌の中にどれくらいの割合でチョコレートを混ぜるのか、とても繊細なノウハウがあるとのことです。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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お寿司「チョコみかんぶり」!?