日韓GSOMIAの破棄回避によって関係改善の芽が生まれるかにみえたが、すぐにその機運はしぼんだ。

 事態が膠着(こうちゃく)するなか、外相として15年の日韓慰安婦合意に立ち会った岸田文雄自民党政調会長が18日夜、テレビ番組で「慰安婦問題の財団を勝手に解散した国が、新たな財団を作る提案をする。どこまで説得力があるんだろう」と発言した。

 原告団に加え、日本側からも批判されるという十字砲火に遭った文喜相氏も22日、自身のホームページで「誤解と曲解が増えている」と悲鳴を上げ、「日本の真摯な謝罪を前提とした法だ」と書き込んだ。

 こんな状態に陥れば、日韓両首脳ができることは限られていた。(朝日新聞編集委員・牧野愛博)

AERA 2020年1月13日号より抜粋