セブン-イレブンを巡る主な出来事(AERA 2019年12月23日号より)
セブン-イレブンを巡る主な出来事(AERA 2019年12月23日号より)
一部の残業代が未払いだったことを受け、会見するセブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長(中央)ら/12月10日、東京都千代田区 (c)朝日新聞社
一部の残業代が未払いだったことを受け、会見するセブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長(中央)ら/12月10日、東京都千代田区 (c)朝日新聞社

 セブン‐イレブン・ジャパンで大規模な残業代の未払いが明らかになった。今年に入ってトラブル続きのセブン。盤石とみられていたコンビニ最大手が揺れている。AERA 2019年12月23日号で掲載された記事を紹介する。

【写真】一部の残業代が未払いだったことを受け、会見する永松文彦社長ら

【セブンは単なるミスではなく「違反」 残業代未払いに潜む二つの悪質性とは】よりつづく

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 今回、未払いがわかったのは今年9月。加盟店の一つに、労基署が是正勧告を出したことがきっかけだという。是正勧告は、労基署が違法だと判断した場合に出されるが、発表されることはない。

 加盟店には、従業員の雇用責任がある。賃金を支払っているのも加盟店で、本部は支払いを代行しているという理屈になっている。

 しかし、お金の流れは事実上、本部が管理している。加盟店は毎日、売上金を本部に送金する。毎月の売上金から原価などを差し引き、一定の割合を本部がロイヤルティーとして取る。その残りからさらに人件費などを差し引き、最後が加盟店の収入になる。

 従業員の勤務データは、加盟店にあるシステムの端末から本部に送られる。賃金は本部のシステムで計算され、ほとんどの場合、本部から従業員の口座に振り込まれる。

 加盟店も明細の確認はできるが、普通は、本部に単純な法令違反があるなどとは考えない。是正勧告を受けた加盟店は、さぞ仰天したことだろう。時効になった分も払う24時間営業だけでなく、ロイヤルティーの割合や契約更新の不透明さ、消費期限が近い商品の「見切り」販売問題──。加盟店の間には、本部への不満がくすぶり続けている。加盟店側が労働組合を結成して団体交渉を求める権利は中央労働委員会で否定されたが、その後も東京地裁で係争中だ。

 今回、残業代の未払いが本部のシステムが原因だった以上、8千店を超える加盟店で是正勧告の対象になりかねない事態が起きていたことになる。未払いは、ただでさえ人手不足に悩む加盟店にとってもイメージダウンだ。従業員だけでなく、加盟店からの信頼も大きく揺らぐことは避けられない。

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