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「すべて日本人ではない」の衝撃 厚労省の遺骨収集事業、体制自体に問題あり

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大平誠AERA
ミャンマー・ブラバロオ村の洞窟から掘り出され、「獣骨」に分類、埋設されていた大量の人骨。同様の杜撰な選別がこれまでなかったとは誰も言い切れない(写真:JYMA提供)

ミャンマー・ブラバロオ村の洞窟から掘り出され、「獣骨」に分類、埋設されていた大量の人骨。同様の杜撰な選別がこれまでなかったとは誰も言い切れない(写真:JYMA提供)

はっきり「獣骨」と書かれたビニール袋には、大量の人骨が含まれていた(写真:JYMA提供)

はっきり「獣骨」と書かれたビニール袋には、大量の人骨が含まれていた(写真:JYMA提供)

過去5年の収容遺骨数(AERA 2019年12月9日号より)

過去5年の収容遺骨数(AERA 2019年12月9日号より)

 遺骨収集事業を巡る厚生労働省の不祥事が止まらない。事業見直しのきっかけにもなった2010年のフィリピンでの遺骨混入事件に端を発し、今夏にはシベリアでも取り違えが発覚した。9年前、遺骨混入疑惑を最初に報じた記者が取材した。AERA 2019年12月9日号から。

【写真】「獣骨」と書かれたビニール袋には、大量の人骨が含まれていた

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 厚生労働省のシベリアでの遺骨収集事業で、大量の現地人の遺骨が「日本人」として収集され、戦没者として埋葬されていたことが発覚した。ミャンマーでは、「獣骨」として分類され廃棄されていた人骨が見つかるなど、次々と不祥事が明るみに出ている。それでもなお、科学的鑑定に不可欠なDNAを損なう「焼骨」にこだわり続ける同省の姿勢に、遺族は翻弄(ほんろう)され、関係者は「証拠隠滅行為」と怒りの声を上げる。

 シベリアでの遺骨取り違えは、7月29日、NHKが独自ニュースとして取り上げたことで発覚した。5年前に厚労省が東シベリアのザバイカル地方で「日本人」として収集、帰還させた16体の遺骨のうち、鑑定可能だった14体の遺骨が「すべて日本人ではない」という衝撃の内容だった。NHKはその後も五月雨式に特ダネを連発、14年前に専門家から疑いを指摘されながら、ロシア側にも事実を隠蔽(いんぺい)していた厚労省は、9月19日、調査結果として1999~2014年にロシア国内9カ所から収集された遺骨のうち、597体分が日本人のものでない可能性があると発表した。

 厚労省によれば、海外戦没者約240万人のうち、部隊や一般の引き揚げ者が持ち帰ったものを含め約128万体の遺骨が収容され、うち約34万体が同省の事業として収集されてきた。

 旧ソ連ではシベリアなどで抑留された日本人のうち、約5万5千人が亡くなったとされる。同省はロシア側から提供された資料をもとに、91年度からこれまでに約2万2千体の遺骨を現地で収集し、日本に帰還させてきた。

 なぜ、取り違えが起こったのか。


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