山下智久さんが挑んだ海外ドラマは、氷に閉ざされた南極基地が舞台だった (c)朝日新聞社
山下智久さんが挑んだ海外ドラマは、氷に閉ざされた南極基地が舞台だった (c)朝日新聞社

 この夏、スペインとアイスランドで海外ドラマの長期撮影に臨んだ山下智久さん。通訳もマネジャーもつけず、現場に日本人はただ一人。仕事もオフも英語漬けの3カ月間を過ごした。AERA 2019年12月2日号は、そんな山下さんにインタビュー。

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 舞台は、闇と氷に閉ざされた南極基地。ここで起きる殺人事件を描く国際ドラマ「THE HEAD」に、メインキャストの一人として日本人でただ一人参加した山下智久さん(34)。

 撮影は3カ月に及んだ。スタッフやキャストとのコミュニケーションはほとんど英語。セリフも全編英語だった。

「5年前の自分なら、とてもこなせなかったと思います」

 そう山下さんは振り返る。

 山下さんが真剣に英語を学び始めたのは、7年ほど前のことだ。20代後半、何度か訪れた米国ロサンゼルスで多くの友人ができた。英語はつたなかったが、仲間は受け入れてくれた。

「人間のコミュニケーションは、言葉以外の部分が70%を占めると言われていますよね。だから単語の羅列でも気持ちは十分伝わりました。ただ、言葉がわからなければ友だちが悩んでいても相談にのれない。相手に寄り添う言葉を伝えられない。それが悔しかったんです」

 帰国して、本気で英語の勉強を始めた。英語を話す友人とのメールは、オールイングリッシュにした。テキストは同じものを2冊買い、1冊は持ち歩き、もう1冊は寝室に置いて常に読んだ。英単語は単語帳に書き、受験生のように暗記した。そんな地道な努力が実を結び、海外の映画やドラマへの出演が続く。

「でも、今回は慣れるまでが大変でした。セリフを覚えるだけならいいんですが、そこに感情をのせなくちゃいけない。日本語の3倍くらい時間がかかりました」

 キャストは多国籍だが、ほぼ全員が英語を使い慣れていた。母語が日本語である山下さんにとって、彼らが無意識にできることがなかなかできなかった。その一つがイントネーションの問題だ。

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