4日、東アジア地域包括的経済連携の首脳会議での安倍晋三首相(中央)と韓国の文在寅大統領(代表撮影)
4日、東アジア地域包括的経済連携の首脳会議での安倍晋三首相(中央)と韓国の文在寅大統領(代表撮影)
この記事の写真をすべて見る

 直前まで続いた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長の交渉。水面下で進んでいた米韓の関係も、変化の兆しが見られるようになった。

【写真】「私たちは日本製品を販売しません」と記されたスーパーの掲示

*  *  *

 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)をめぐり延長か失効か、最後まで迷走した。文在寅大統領が19日夜の国民との対話で、日本が輸出管理規制措置で譲歩するのが条件だと主張。康京和(カンギョンファ)外相も21日の国会答弁で「日本の態度が変わらない限り、GSOMIAは明日終了する」と語っていた。

 複数の日韓関係筋によれば、11月4日の安倍晋三首相と文在寅大統領との対話が不発に終わった後も、秋葉剛男外務事務次官と趙世暎(チョセヨン)韓国外交省第1次官がほぼ毎日、電話で協議を続け、妥協点を探っていた。

 韓国は日本による輸出管理規制措置の撤回に向けた道筋作りにこだわった。文大統領自身が15日、エスパー米国防長官に「安保で信頼できないという理由で輸出管理を強化した日本と軍事情報の共有は難しい」と発言したためだ。韓国は、(1)輸出管理について協議する貿易管理分野の課長級協議を局長級に格上げする、(2)日本側の措置撤回に向けたロードマップでの合意、を求めたという。

 対して日本側は、ロードマップ作成に至るまで双方の信頼関係が回復していないなどとして難色を示したという。

 もちろん、背後には、年内にも日本企業の韓国内資産の現金化が迫る徴用工訴訟判決問題で、韓国側が譲歩しない事情も大きく作用した。首相官邸周辺によれば、安倍首相らは、日本企業に損害が出ることは絶対に容認できないと主張。日本企業による支払いが不可欠とする大統領府と最後まで折り合えなかった。

 GSOMIAが失効しても、日本のミサイル防衛や朝鮮半島有事への対応で、すぐ問題が発生するわけではない。ミサイル防衛は米軍の早期警戒衛星やレーダーが主役であり、韓国軍しか探知できないようなミサイルは、日本への脅威にはならない。朝鮮半島有事で自衛隊が支援するのは米軍であって韓国軍ではないからだ。だが、日米韓の防衛協力で、中国、ロシア、北朝鮮に対抗しようとする米国の思惑は大きく崩れそうだ。

暮らしとモノ班 for promotion
大人になってからでも始めやすい、お手軽楽器♪
次のページ