「寮生活の生徒もいますから、朝ご飯作ったら片付けて、昼ご飯作ったら片付けて、夜ご飯作って片付けて。そして献立作り。34年間もどうして飽きなかったのかなって思います(笑)。でもみんな楽しそうに食べてくれるし、残していない。必ずごちそうさまって言ってくれるのが嬉しい。そこに救われています」

(編集部・三島恵美子)

■リブロの野上由人さんのオススメの一冊

『こども六法』は、法律を子どもの社会でも応用できるよう、難しい法律用語もわかりやすく書き直された一冊だ。リブロの野上由人さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 六法といえば憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法だが、本書は子ども向けなので商法を外し、代わりに少年法といじめ防止対策推進法を加えている。総ルビ、口語訳ではあるが、法曹の監修付き、明治創業の学術出版社から刊行された「本物」だ。

「むりやりエッチなことをするのは絶対ダメ! (強制わいせつ)」「子どもは生きるための世話をしてもらう権利がある(保護責任者遺棄等)」「みんなと違っていてもいい(思想及び良心の自由)」等、子どもにもわかりやすい見出しとともに条文の解説がある。意外にも類書がなく、ベストセラーになった。

 子どもの社会にも紛争がある。大人ならどう解決するか。法律はその叡智の結晶だ。本書は、子どもに法律知識を教えることの重要性をあらためて示した。学校の教材にそのまま採用されてもいい。

AERA 2019年11月11日号