ガボールパッチの例。このなかから同じ模様を探す。『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』(平松類著)から(AERA 2019年10月21日号より)
ガボールパッチの例。このなかから同じ模様を探す。『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』(平松類著)から(AERA 2019年10月21日号より)
スマホ老眼による主な症状(AERA 2019年10月21日号より)
スマホ老眼による主な症状(AERA 2019年10月21日号より)

 スマホの普及で年齢に関係なく近視・遠視に悩む人が増えている。進行する視力低下の進行を食い止める方法はないのか。AERA 2019年10月21日号に掲載された記事を紹介する。

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最近、遠視・近視、いずれにも効果が見込める手軽な方法として、「ガボールパッチ」を使った方法が注目を浴びている。日本にガボールパッチを紹介した眼科専門医の平松類医師はこう話す。

「もともとは心理学で使われていたものですが、複数の研究機関で視力回復効果が実証され、世界的ブームとなっています」

 ガボールパッチとは、ホログラフィーの発明でノーベル物理学賞を受賞したデニス・ガボール博士が考案した、ガボール変換という数学的な処理で生み出された縞模様のこと。微妙に形の違う模様が並ぶ絵の中から、同じ縞模様を選び出す作業を繰り返すことで脳の視覚野が刺激される。カリフォルニア大学の研究では、学生と65歳以上の高齢者それぞれ16人を対象にこの視力回復法を実施したところ近視も老眼も改善が見られ、カンザス大学で行われた研究でも、年齢を問わず全員の視力が向上したという。

「視覚野を刺激することで、近視や老眼によってぼやけて見えている画像をくっきりしたものに補正する力が鍛えられる。目ではなく脳を鍛えることで、視力を改善していくのです」(平松医師)

 1日3~10分程度、できれば毎日続けることで、1カ月程度で効果が実感できるようになると平松医師は話す。症例数はそれほど多くはないが、目の負担が少なく、費用もそれほどかからないのが魅力だ。ガボールパッチが手元にない場合は、片面だけに文字が書かれた紙を、書かれていない方向から透かして読んでもいいという。はっきり見えないものをがんばって読もうとすることで、ガボールパッチと似た効果が得られるのだ。

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