「1対0の投手戦。西勇輝がナイスピッチングを続けている。あるいは、メッセンジャーがものすごいピッチで三振をとっていって、2対1で8回まで来た。たとえばそういうときは、手に汗握って、黙って見ていたいんです。ところが同じヒッティングマーチが延々と鳴るんですね。もう、眠たくなってくる(笑)」

 10対0でも1対0でも同じ応援。阪神ファンの皆さん、そういうことは、もうぼちぼちやめていいんじゃないか? と道上さんは言う。

「8対7の打撃戦なら、お祭り騒ぎでもいい。でも、タイガースは点をなかなか取れない。そこを、イライラしながらも、緊迫感で押しつぶされそうになりながらも、バッターとバッテリーの1球ごとの駆け引きを、静かに追うという姿勢を、ファンも取り戻していいのではないか。実際に、そのことがゲームの雰囲気を作ったりもするんですよ。そういうメリハリみたいなものが、阪神ファンにだんだんなくなってきてるというのは寂しいです。『野球そのものを、しっかり見てるか?』と言いたい気持ちはありますね」

(文/編集部・小長光哲郎)

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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