生地感や風合いはまさに「いいジーンズ」。1万2千円+税と安くはないが、モノのよさを考えれば「買い」だ(撮影/写真部・張溢文)
生地感や風合いはまさに「いいジーンズ」。1万2千円+税と安くはないが、モノのよさを考えれば「買い」だ(撮影/写真部・張溢文)
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液体がかかってもしっかり弾かれる(右)ので、コーヒーやしょうゆなどは拭くだけでほぼ落ちる。ケチャップの汚れも水洗いすればきれいに落ちた(左)(撮影/写真部・張溢文)
液体がかかってもしっかり弾かれる(右)ので、コーヒーやしょうゆなどは拭くだけでほぼ落ちる。ケチャップの汚れも水洗いすればきれいに落ちた(左)(撮影/写真部・張溢文)

 カッコよく白いパンツをはきこなしたいと思っても、汚すのが怖くて諦めている人は多いはず。だが、特殊な加工によって汚れ知らずのジーンズが誕生したという。本当なのか、試してみた。AERA 2019年10月7日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】本当に汚れない? ケチャップをこぼしてみると…

*  *  *

 またやってしまった……。

 買ったばかりのデニムの太ももが赤く染まっている。気づかぬうちにケチャップをこぼしたらしい。慌ててオシボリを当てるも後の祭り。とぼとぼ家に帰り、洗剤を使って洗ってみたが、はっきりシミになっている。

 これまでケチャップやラーメンの汁、コーヒーのシミで着られなくなった白い服は数知れず。今や、服のほとんどが黒か紺のファストファッション。「白でカッコよく」は諦めていた。

 そう思っていたが、「絶対に汚れない」白デニムがあると聞き、手掛けるファクトリエを訪ねた。同社の「ずっときれいなコットンパンツ」は、水も汚れも弾くのだという。開発のきっかけは、同社CEO山田敏夫さんのひらめきだった。

「僕自身もよくパンツを汚し、ダメにしていました。悲しいし、捨てるのもストレスです。そんなとき、フライパンのテフロン加工を見て思いつきました」

 これをパンツにも応用できないだろうか。どんな汚れも弾くなら、スープが飛んでも、泥がはねても怖くない。デニムの街・岡山県倉敷市児島の工場を訪ね、「テフロン加工した白デニム」の共同開発に乗り出した。

 縫製した白デニムをテフロンに漬けた後、180度の熱で2分間焼きつける。防水膜をコーティングする一般的な防水加工と比べ、糸にテフロンを浸透させるので通気性が失われない。縫製前にテフロンを染み込ませると縫い目が弱点になるが、後加工なのでその問題もない。加えて焼きつけでテフロンを固着させるから、「100回洗濯しても効果がほぼ落ちない」という。

 これです、と山田さんが持ってきたのは、ごく一般的な白デニム。テフロンという響きから想像されるテカリやパキパキ感は一切ない。「ワンウォッシュしてますから」と、山田さん。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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