映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」は9月13日から公開 (c)2019「人間失格」製作委員会
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」は9月13日から公開 (c)2019「人間失格」製作委員会
小説「斜陽」に大きく関わった太田静子に沢尻エリカ (c)2019「人間失格」製作委員会
小説「斜陽」に大きく関わった太田静子に沢尻エリカ (c)2019「人間失格」製作委員会
“最後の愛人”富栄役は二階堂ふみ (c)2019「人間失格」製作委員会
“最後の愛人”富栄役は二階堂ふみ (c)2019「人間失格」製作委員会

 蜷川実花監督最新作「人間失格 太宰治と3人の女たち」が公開される。主演を務めるのは、蜷川監督が「太宰を演じるなら彼しかいない」と7年の構想を経てオファーした小栗旬。2人の意外な交友関係や撮影現場でのエピソードを聞いた。AERA 2019年9月16日号から。

【蜷川実花監督と小栗旬の2ショット写真はこちら】

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 蜷川監督は本作を含む2本の映画が今年公開され、Netflixのオリジナルドラマも手掛ける。小栗さんもハリウッド映画「ゴジラVSコング(仮)」の公開が控え、俳優として新たなステージに足を踏みだしたように見える。

蜷川実花:40歳を超えた頃、「やりたいことは全部やる」と決めて。とんでもないスケジュールを組んでしまうこともあるけれど、追い詰められているときのほうが調子がいいこともある。

「ふわっとしている」と言われることもあるけど、200人ものスタッフがいる現場で、いつもの自分の状態でいるのは難しいんです。自信を裏付ける努力をしておかないと。緊張してしまったり、「監督はこうでなければ」ととらわれたりしていると、実力が発揮できない。それは「さくらん」(2007年公開)のときに思い知りました。

 なので、大好きなかわいい服を着て、休憩中にスマホで「このお洋服が欲しいな」とチェックをしながら、現場に向き合う。自分が一番いい状態でいるための勇気を持つのは、意外と難しい。常に自分なりに実力を発揮できる状態に持っていく闘いだった気がします。

小栗:僕はこれまでいろいろ経験することができたと思っているので、「どうしてもやりたい」と思うことが、いまはあまりないんです。だからこそ挑戦する。なんとなく仕事を続けるのなら、いつでもやめる準備はできているというか。

蜷川:新鮮でいるって、すごく難しいんですよね。映画は4本目で、まだやったことのない表現も多いけれど、写真家としては結構やり尽くしてしまっている。でも、自分がワクワクしていないとやる意味がない。強制的に環境を変えていくしかないんです。だから、小栗君の「挑戦するしかない」というのは、なるほどな、と思いました。そういう意味では「人間失格」の撮影は面白かったんじゃない?

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