本当に若い世代が不買運動に参加しているのか知りたくて、光化門(クァンファムン)近くのスターバックスでお茶をしていた二人組の若い女性に声をかけた。二人は28歳と30歳で、ともにソウル市内の会社に勤める会社員だという。

「不買運動に参加していますか」と尋ねたら、二人とも「もちろんです。できる限り、日本製品は買わないようにしています」と即座に答えた。敵意を燃やすような視線ではなく、穏やかで笑顔も見せていたのが印象的だった。

「若い人たちでも、他人の目を気にするのですか」と聞くと、30歳の女性は「ヌンチは見ます。売国奴って言われたくないし」とキッパリ話した。

 彼女たちが他人とつながる空間はオフラインではなく、オンラインの世界が主だ。だが、SNSのグループトークで、一人が「ユニクロには行かない」と言えば、皆が賛同しないといけない空気になるという。自分がどんな行動を取ったのか、SNSで互いに報告し合うこともよくあるという。(朝日新聞編集委員・牧野愛博)

AERA 2019年9月2日号より抜粋