例えば席についてバッグを置くとき。運がいい人はペットを扱うみたいに大事に置いていました。どんなにいい身なりをしていても、運が悪い人は、バンッて乱暴に置くし、トイレットペーパーも破き方がビリビリ。半径1ミリ以内に対する丁寧さというか、身近なものに愛着を持つことは、運をよくしてくれます。なぜなら人に対する態度にも愛が出てくるから。バッグの痛みがわからない人は、人の痛みがわからない。

 あと、運のいい人は、帳尻合わせがうまいなと思いますね。10回に1回はミスを犯しちゃう人のほうが運がいい。だから僕は東南アジア料理とかを食べにいくと、大失敗のドリンクを頼むんです。薬草みたいな味のやつ。そうやってあえてバランスをちょっと崩す。その時不正解でも、後から大きな正解に繋がっていくことがよくあります。

 運に関するテクニックってたくさん流布されていますが、運を所有しようとすることだけは絶対にやめたほうがいい。一人で背負い込む運ほど怖いものはないです。一つの幸運、成功にはその10倍の妬みと恨み、負けた人の気持ちがついている。ゴールは、一人勝ちではなく分け合うことです。

AERA 2019年9月2日号

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しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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