当然のことながら、衣料品店や百貨店の売れ筋商品にも、異変が起きている。アウトドアウェアなどを扱い、全国で29店舗を展開する「ワークマンプラス」営業企画部の林知幸さんによると、半袖など、夏の定番商品はもちろん、近年の夏のヒット商品の売れ行きがまだ鈍い状態だという。

「たとえば服の背中の内側にファンが付いていて涼しい風を送る『空調ウェア』は熱中症対策にも有効で、例年ならもう売れ始めている頃なのですが、まだ売れていませんね」

 代わりに売れ続けているのが、撥水性のジャケットやデニムパンツ、防水シューズなどだ。このため、全体の売り上げ自体は下がっていないが、それでも夏が待ちどおしいと林さんは話す。

「本格的に暑くなった時に来客数がぐっと増え、冷感素材を使った商品などが一気に売れ始める、その『瞬発力』に敵うものはありません」

「東武百貨店池袋店」でもやはり、婦人服売り場でカーディガン、パンツ、Tシャツなどの売り上げが減っているという。

「『夏を感じられない』ことで、旅行などに行く方が減り、結果、『目的買い』が減っているようです」(広報担当の荒井有香さん)

 一方で、秋にも着られるようなトップスやスカートの売り上げは例年の110~120%と好調だ。婦人雑貨では日傘や帽子の売り上げは例年の60%ほどだが、逆に雨傘は190%、レインコートなどのレイングッズは200%超と、よく売れている。ただし、食品売り場では暑いと良く売れるウナギや梅干しが今年はいま一つだという。

 家電では梅雨寒の影響を最も顕著に受けているのが、エアコンだ。家電コーディネーターの戸井田園子さんはこう話す。

「メーカーさんたちは『全然売れない、一日も早く暑くなってほしい』とぼやいています。順調に梅雨明けして暑くなる可能性もあるので現時点での値下げはないですが、8月の10日になっても気温が上がらなかったら、価格はガクッと下がると思います。いまメーカーさんは天気とお見合い中でしょうね」

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