「200年後の今だからこそ語る価値がある」マイク・リー監督が描くピータールー虐殺事件 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「200年後の今だからこそ語る価値がある」マイク・リー監督が描くピータールー虐殺事件

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高野裕子AERA
「ピータールー マンチェスターの悲劇」/ガーディアン紙創刊の契機となり英国民主主義の転機となった事件の全貌を描く。8月9日から全国順次公開 (c)Amazon Content Services LLC, Film4 a division of Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2018.

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「わたしは、ダニエル・ブレイク」価格3800円+税/DVD発売中、発売元・販売元:バップ (c)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cin?ma and The British Film Institute 2016

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 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

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*  *  *
 英国庶民の日常に横たわる様々な問題をテーマに、半世紀にわたり名作を生み出してきたマイク・リー監督。新作は1819年、6万人もの市民が襲われたピータールーの虐殺事件に目をむける。

「現場に近い所で育ったが、不思議なことに子どもの頃、この事件については知らなかったんだ。歴史の授業で触れたこともない。詳しく知ったのは成人してからだ。誰かが映画にしたら面白いとも思った。ただその誰かが自分になるとは思わなかったよ」

 と知られざる故郷マンチェスターの歴史の一ページについて語る。

 映画はジョセフ青年が、ナポレオン戦争から自宅に帰還するところから幕が開く。社会の底辺である貧しい労働者の家庭の出身だ。増税に苦しみ日々の生活もままならない。そんな彼らの間で選挙権獲得を提唱する運動が起こり、ロンドンから著名な活動家を招いた集会が計画される。しかし平和なはずの催しは、軍隊の突入により惨事と化すのだ。

「公文書館や大英図書館などあちこちに膨大な記録が残っていた。演説原稿や新聞記事、政府高官の手紙など。永久にリサーチができた。だからと言って良い映画が撮れるわけではないからね。物語に生を吹き込むことが重要だ」
 1815年から19年まで5年間、労働者階級の庶民、中産階級の活動家、治安判事、軍人、政府高官や摂政王太子など、社会を多くの異なる視点で捉えつつ、事件の進展を追う。

「主人公がいないのは、事件に主人公がいないから。各階層で何が起こったかが重要だ。史実と脚色をどんな割合で組み合わせるか、計算式はないんだ。何がエンターテインメントで何が芸術作品かを考慮した。本作はドキュメンタリー映画でなく巨大な不正行為についてのドラマだから」


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