グッドパッチの土屋尚史社長(35)。「note」に書き込んだ内容が「ここまで公開する勇気がすごい」と話題に(撮影/編集部・石臥薫子)
グッドパッチの土屋尚史社長(35)。「note」に書き込んだ内容が「ここまで公開する勇気がすごい」と話題に(撮影/編集部・石臥薫子)

 売り手市場でも離職率の高さは変わらない。「ミスマッチ」を解消できるかが課題になっている。そんな中、採用関係者の間で注目されているのが、さらけ出す採用「RJP」だ。

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 最近ではRJP(Realistic Job Preview=現実的な職務情報の事前開示)実践の場は、実際の選考過程や口コミ上だけではない。例えば、文章や写真、音楽などクリエイターが自由に作品をサイト上で発表し、ユーザーとつながるサービス「note」。4月、このnote上のある投稿に「ここまで公開する勇気はすごい」と称賛の声が集まった。書き手はグノシーやマネーフォワードなどのデジタルデザインを手がけるデザイン会社グッドパッチの土屋尚史社長だ。

「僕の経営するグッドパッチは約2年半ほど前に組織とカンパニーカルチャーがほぼ全て崩壊するという事態に陥りました」

 そんな書き出しからはじまった投稿は、新旧のメンバーが対立したこと、初めての評価制度導入に納得が得られず、離職者が一時4割を超えたことなどを赤裸々に綴った。加えて、どん底から組織を立て直していった経緯も克明に記した。さらに通常外部に出すことのないエンゲージメントスコア(メンバーの仕事への熱意や組織に貢献する意欲を測る指標)の変化を「再生」を裏付けるデータとして、公表。すると応募者は今年はじめと比べて3倍に増えた。

 洗いざらいさらけ出した理由について、土屋さんが言う。

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