初のチーム練習でプレーする八村塁 (c)朝日新聞社
初のチーム練習でプレーする八村塁 (c)朝日新聞社

 ラスベガスで行われたサマーリーグで、日本人初となるNBAデビューを果たした八村塁(21)。監督は八村の能力だけでなく、その勤勉さやチームのためにプレーする「日本人らしい」真面目さを買っているという。

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 NBAのドラフトでは、30チーム全体の強さの均衡を図るため、前シーズンの成績が悪い順に指名していく。つまり、八村を9番目に指名したウィザーズは、NBAでもかなり弱いチームということだ。

 今回、ニューオーリンズ・ペリカンズが、全体1位でデューク大出身のザイオン・ウィリアムソンを指名した。この選手は、チームを背負って立つスター選手になることが課せられており、すぐにエース級で活躍することが期待されている。

 これに比べて、ウィザーズの八村に対する期待は少し違う。

 ドラフト翌日の記者会見で、八村の隣に座ったトミー・シェパード暫定GMは開口一番、「ここにいる八村選手の家族、すべての日本メディアを歓迎したい。彼らは今、前進するウィザーズの素晴らしいパートナーだ」と笑顔を見せた。球団経営というビジネス面で、日本人プレーヤーという商品価値に期待感を示したかのようだった。さらにこう続けた。

「面白かったことが一つある。とても多くの人が私に『八村は練習しすぎるので、彼の練習時間を管理することを意識した方が良い』と言った。早く八村の練習ぶりを見たいよ」

 八村はNCAA1部の強豪ゴンザガ大で3年間プレーし、徐々に成績を伸ばした。1試合平均の成績を見ると、出場時間を1年生時の4.6分から30.2分に、得点を2.6点から19.7点に、リバウンド数を1.4から6.5に上げた。ウィザーズは、八村はまだ発展途上で伸びしろが多いとみている。将来性を買って指名し、学生時のように数年かけてチームの柱に育てることを構想している。

 シェパード氏は八村の勤勉さやチームのためにプレーするまじめさにも期待感を示した。これにはウィザーズ特有のチーム事情がある。エースガードでチームの中心であるジョン・ウォールが、現在ケガからの復帰に向けてリハビリ中なのだ。

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