ウォールもそうだが、良い個人成績を残して高額契約を勝ち取ることに重きを置いている選手が多いように見える。数字に見えないディフェンスや、チームオフェンスを軽んじている空気が、低迷の大きな理由の一つでもある。注目のドラフト1巡目ルーキーが自分を犠牲にしてプレーする姿が、チーム全体を良い方向に変えることへの期待が球団にはあるようだ。

 米紙ワシントン・ポストは、サマーリーグのデビュー戦についてこう評価した。

「彼が寡黙であることは、ゴール下でリバウンドを追いかける努力や、相手にシュートを決めさせないという存在感と同様に注目に値する。八村はシュートを外した後、すぐにディフェンスに戻った。決定的な両手ダンクをたたき込んだ後も、雄たけびや歓喜もなく再びディフェンスに戻った」

 もちろん、八村はすぐに雄たけびを上げるだろう。豪快なダンクで会場に歓喜の渦をもたらすだろう。それでも何より寡黙で数字に見えない献身的なプレーを待ち望んでいたい。(朝日新聞アメリカ総局・土佐茂生)

AERA 2019年7月22日号より抜粋