石井啓一国土交通相は4日の閣議後の記者会見で「特に折り返し駅での運転の状況を注意するように他の新交通システムの運営事業者に指示したところです」と述べ、原因究明を待たずに対処を進めるよう要請したことを明らかにした。

 シーサイドラインは4日から通常よりも本数を絞って、運転士が乗車した上で運行を再開。運輸安全委員会やシーサイドラインのATOのシステムベンダーである日立製作所や運営会社などが事故原因の調査を進めているが、事故原因の究明は長引きそうだ。

 6日に会見した運営会社は、列車のATOで断線が見つかり、モーターに進行方向を切り替える駅のATOからの指令が伝わらなかったことで逆走を引き起こした可能性があると明らかにした。ただ、断線の原因や、逆走した場合に自動停止装置が働かなかったシステムの原因など、今後も詳細な調査は続く見通しだ。

 シーサイドラインの事故後、「ゆりかもめ」(東京都)など無人運転を行う全国の事業者がホームに係員を置いたり、車両点検を実施したりするなど事故の波紋が広がっている。(ライター・小松武廣)

AERA 2019年6月17日号より抜粋