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中央アジア「独裁」第一世代、表舞台去るも…体制は大きく変わらない事情

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川口穣AERA
AERA 2019年5月13日号より

AERA 2019年5月13日号より

 27年3カ月権力の座にあった大統領が辞任する。そんな大きなニュースがあった割には、静かな夜だったという。

 3月19日、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領(78)がテレビ演説で辞任を表明した。最大の都市、アルマトイで暮らす公務員女性の元には、夜7時過ぎからメッセンジャーアプリ「ワッツ・アップ」経由で次々にメッセージが入り始めた。「大統領がやめるらしい」。家路を急ぐ車のなかでラジオをつけると、すでに大きなニュースになっていた。

 ナザルバエフ前大統領はソ連時代の1989年、カザフスタン共産党の第1書記となり、91年の独立とともにカザフスタン共和国初代大統領に就いた。以来、ときに独裁と批判されながらも、選挙では常に圧倒的な得票率で再選されてきた。

「ニュースを聞いても最初は冗談としか思えなかった。辞任を喜ぶ人は大勢います。でも、そんな危険なことをわざわざ大声では叫びませんよ。街はいつも通りでした」(前出の女性)

 国内外で驚きをもって受け止められた辞任のニュースだが、「必ずしも予想外ではない」と、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの宇山智彦教授(中央アジア政治)は言う。

「前大統領は長年の懸案だった仕事を片付けている印象がありました。代表的なのは、ロシア的なキリル文字で表記されていたカザフ語をラテン文字化したことでしょう。そして今年2月には、憲法に規定がない任期途中での辞任が可能なのか、憲法評議会に問い合わせています。政治課題を解決しつつ、機会をうかがっていたという印象です」

 91年、ソ連崩壊の直前に相次いで独立した中央アジア諸国には、共産党指導層出身の独裁者がズラリと並んだ。極端な個人崇拝に基づく統治を行ったトルクメニスタンのニヤゾフ前大統領(2006年死去)や反政府派を厳しく弾圧したウズベキスタンのカリモフ前大統領(16年死去)などは、国際的にも批判を浴びた。ナザルバエフ前大統領の辞任で、彼ら「第一世代」は表舞台から姿を消すことになる。


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