One Tap BUY(ワンタップバイ)/取引手数料は売買代金の0.5%~。米国株では1ドルあたり35銭の為替手数料。月980円の定額プランも選べる。5月には貯蓄に近い感覚で高配当を受け取り続ける新商品が登場(写真:ワンタップバイ提供)
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One Tap BUY(ワンタップバイ)/取引手数料は売買代金の0.5%~。米国株では1ドルあたり35銭の為替手数料。月980円の定額プランも選べる。5月には貯蓄に近い感覚で高配当を受け取り続ける新商品が登場(写真:ワンタップバイ提供)

 スマホの簡単な操作で手続きが完結する「スマホ証券」が脚光を浴びている。初心者にとってハードルが高い投資が、ベンチャー企業の工夫によって身近なものに変わりつつある。

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「株式投資はある程度の元手資金が必要」という「常識」を覆したスタートアップ企業がある。2016年に営業開始したスマホ証券「One Tap BUY(ワンタップバイ)」は、わずか1千円で個別株投資ができるサービスで口座数を伸ばしている。林和人CEO(55)は、その背景をこう話す。

「資産の有無にかかわらず、株式投資をやってみたいと思う人は大勢います。それでも最初の一歩を踏み出せないのは、『お金がない』『大金を投じるのが怖い』『何を買っていいかわからない』という理由からです。だったらこれらのハードルを全部取り除いたサービスをつくろうと考えました」

 通常、上場企業の株は100株単位でないと買えない。例えば、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドなら120万円以上、ユニクロを展開するファーストリテイリングでは500万円を超える資金が必要だ。しかし、ワンタップバイを利用すれば、いずれも1千円で株主になることができる。

 さらに、日本株以上にハードルの高い米国株に投資できるアプリも用意している。日本株と同様1千円から、アップルやアマゾン、フェイスブックやマイクロソフトといった世界的な有名企業にも投資できる。

 そのからくりはこうだ。投資家は通常、口座を持つ証券会社を通して、証券取引所で株を買う。ワンタップバイでは同社がまず一定数の株を購入して在庫を持ち、投資家の注文に応じてそれを売却する。売れ残れば同社がリスクを抱えることになり、不足すると販売チャンスを失うので、独自のアルゴリズムを組んで、日々の株価や為替レート、在庫などをモニタリングしながら自動発注しているという。

 また、日本の株式市場だけでも4千近い数の企業が上場しており、何を選べばいいかわからず途方に暮れてしまう人もいるだろう。そこで同社では投資できる株を、日本株と米国株の中で、知名度や財務の安定性など独自の基準を満たした40銘柄ずつに厳選している。(ライター・森田悦子)

AERA 2019年4月8日号