――若い世代やこれから生まれてくる子どもたちが、令和の中心になる世代です。元号策定にあたって、こうした世代のことをどのようにお考えですか。

本日の会見はインスタライブやツイッターで生中継をされていますが、今の若い世代の皆さんはこうしたSNSなどの新しいツールを見事に使いこなすことで、新しい文化を切り開いています。ニコニコ動画もそうですし、既存メディアの発想にとらわれることがなく、子どもたちならではの柔軟さで多様な番組を、リアルタイムで個人がコメントを発信できる新しいメディアの姿を、こうした若い世代の新しいムーブメントは確実に、これまでの政治や社会のありように大きな変化をもたらしつつあります。

本当に頼もしい限りであると思っておりますが、日本の未来を明るいと感じています。新しい時代にはこのような若い世代の皆さんがそれぞれの夢や希望に向かって、思う存分活躍することができる、そういう時代であってほしいと思っています。この点が今回の元号を決める大きなポイントでもありました。

今回の元号は万葉集にある梅の花の歌32首序文からの引用です。この中では厳しい寒さの後、春の訪れを告げるように咲きほこる梅の花の情景が美しく描かれております。平成の時代のヒット曲に「世界に一つだけの花」という歌がありましたが、次の時代にある若者たちが明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そのような若者たちにとって希望に満ち溢れた日本を国民の皆さんとともに作り上げていきたいと思っています。

――2月下旬と3月下旬に皇太子さまとお会いされています。ご即位にあたっての思いなど、教えてください。また、新元号について直接ご報告されるご予定はありますか。

2月22日と3月29日に皇太子殿下にお会いいたしましたが、その際の内容についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。皇太子殿下におかれては、本年2月のお誕生日に際しまして、今上陛下のこれまでのお姿を心にとどめ、国民に常に寄り添い、人々ともに喜び、あるいはともに悲しみながら、象徴としての務めを果たしていきたいとのお気持ちを明らかになさったと承知をしており、大変ありがたいことであると考えています。私としては皇太子殿下のご即位を心からお慶び申し上げますとともに、先ほど申し上げた殿下のお気持ちをしっかりと受け止め、新しい令和の時代を国および国民統合の象徴となられる殿下とともに歩みを進めてまいりたいと思っております。

今月は平成最後の月となります。このひと月、平成の時代に、そして天皇皇后両陛下のご足跡に思いを馳せつつ、新しい時代に向けて、天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位がつつがなく行われるように万全を期していきたいと思います。そして、新しい時代にふさわしい令和の時代を切り開いていくために、準備万端、万全を期していきたいと思っています。なお、新元号については閣議決定を行った後に、宮内庁を通じて、今上陛下および皇太子殿下にお伝えをいたしました。

(編集部/川口穣、福井しほ)

AERAオンライン限定

著者プロフィールを見る
川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

川口穣の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

福井しほの記事一覧はこちら