羽生結弦(24)/ソチ、平昌で五輪2連覇を果たす。国民栄誉賞受賞。今季はGPシリーズのフィンランド、ロシア両大会で優勝したが、怪我に苦しむ (c)朝日新聞社
羽生結弦(24)/ソチ、平昌で五輪2連覇を果たす。国民栄誉賞受賞。今季はGPシリーズのフィンランド、ロシア両大会で優勝したが、怪我に苦しむ (c)朝日新聞社

 今季最高峰の決戦となる世界フィギュアスケート選手権が3月20日、さいたまスーパーアリーナで開幕する。日本から男女ともメダル争奪戦に絡むメンバーが出揃った。海外勢を含め男子選手の金メダル候補は誰なのか、ライターの野口美恵氏が解説する。

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 まず最も注目を集めるのは、羽生結弦(24)だろう。五輪連覇を果たして臨んだ今季だが、昨年11月のロシア杯の公式練習で右足首を負傷した。

「ドクターには『今滑ったら余計悪化する』と言われたけれど、ロシアだったからこそ、この試合を選んだ」

 と言い、怪我をしたままフリーに強行出場。優勝は果たしたものの無理もあって怪我の回復は長引き、12月のグランプリ(GP)ファイナル、全日本選手権ともに欠場した。

 羽生が優勝するためには、リハビリの状況と、4カ月ぶりの実戦という「試合勘のなさ」がネックとなる。しかし平昌五輪も3カ月ぶりの試合で、かつ怪我が完治していない状況で優勝しており、本番での爆発力は証明ずみ。ブライアン・オーサーコーチによると1月からは氷上練習を再開しており、3月12日現在、本番に向けて準備を進めているという。

 また羽生にとっては、ライバルの存在が何よりものモチベーション。チームメートに4回転2種類を跳ぶチャ・ジュンファン(17)がいることで、よい緊張感を得て、順調にジャンプを取り戻していることを期待したい。

 羽生と共に優勝候補となるのが宇野昌磨(21)。2月の四大陸選手権で初めての「勝利欲」をつかんだ。平昌五輪、世界選手権など世界レベルの大会では6大会連続の銀メダルだったが、四大陸選手権で初めて「優勝したい」という気持ちが芽生え、有言実行の金メダルを獲得。フリーでの197.36点は、今季の世界最高得点だった。

「世界選手権は、自分のためにも、僕を支えてくれているみんなのためにも、感謝の気持ちをこめて練習を頑張りたい。ジャンプを全部成功させるのが優勝の条件です」

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