森敬太社長は東京大学農学部農芸化学科卒、同大学院農芸化学専攻修了。キリンビールでの研究開発、米国サンフランシスコのインフォマティクス(情報科学)関連企業での開発経験もある、バイオ分野のスペシャリスト(撮影/写真部・小黒冴夏)
森敬太社長は東京大学農学部農芸化学科卒、同大学院農芸化学専攻修了。キリンビールでの研究開発、米国サンフランシスコのインフォマティクス(情報科学)関連企業での開発経験もある、バイオ分野のスペシャリスト(撮影/写真部・小黒冴夏)

 1月29日、人の細胞を使った新薬の臨床試験が不調に終わったことを受け、サンバイオ株に売りが殺到。5日間で株価は1万2000円台から2401円まで、約5分の1まで大暴落した。

 サンバイオが挑戦していたのは、慢性期脳梗塞(脳神経の疾患)に効く世界初の特効薬。株式市場の期待も、現在脳梗塞で苦しんでいる患者からの期待も高かった。

 2月12日、AERAは編集部は、米国にいたサンバイオ森敬太社長とインターネット回線によるサテライト取材を行った。

──SB623の慢性期脳梗塞への臨床試験不調と聞いたとき、どう感じたか。

 本当にショックでした。慢性期脳梗塞の試験のうち、前期試験でいい結果が出たのに、手術を交えて精査する後期試験でうまくいきませんでした。でも一番大事な安全面でのハードルはクリアしていたので、すぐに開発を継続しなければと気持ちを切り替えました。外傷性脳損傷は順調で計画も変更ありません。不調に終わった慢性期脳梗塞も絶対あきらめません。解析を続けます。

──今後の解析にはどのくらいの時間を要するのか。

 最低数カ月かかります。今回の163例すべての患者の結果を分析します。慢性期脳梗塞の患者は発症から6カ月、1年、5年など期間はさまざま。血管が詰まる部分の大きさも違います。多様な患者を層別に分けてSB623が効いている患者の特徴を探索していきます。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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