米国は、イスラエル、サウジアラビア、日本を除く多くの国と関係がぎくしゃくし、ロシアやイラン、シリアとは対立が深まった。国際社会で米国が孤立する中、中国は欧州各国や日本などと、ロシアはイランやサウジ、ベネズエラなどと関係強化を進めている。同時に米ロ中は軍事力の増強を進め、軍拡競争の時代に逆戻りし始めた。

 18年の元日、国連のグテーレス事務総長は、全世界に向けた新年のビデオメッセージで「残念ながら世界は根本的に、(平和と)反対の方向へ進んでいる」と警告し、「国粋主義と排外主義が高まっている」と指摘した。そして、こう訴えた。

「私は各地の指導者に新年の誓いを求める。格差を縮め、分裂をなくし、共通の目標で人々を連帯させ、信頼を作り上げることを。結束こそが解決への道。未来はそこにかかっている」

 社会分断が深まり、国粋主義と排外主義が強まった18年、国連事務総長の訴えは世界に届かなかった。(編集部・山本大輔)

AERA 2018年12月31日-2019年1月7日合併号