宇野昌磨はGPファイナル2年連続2位となり、悔いが残った。優勝は、昨季世界選手権王者、アメリカのネーサン・チェン (c)朝日新聞社
宇野昌磨はGPファイナル2年連続2位となり、悔いが残った。優勝は、昨季世界選手権王者、アメリカのネーサン・チェン (c)朝日新聞社

 2年連続でグランプリファイナル2位となった宇野昌磨。今回の戦いは、今までとは違う思いで臨んだ。ファイナルを終えた心境と今後への誓いを語った。

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 男子の宇野昌磨(21)にとっては、新たな自分との葛藤となる一戦だった。

「去年までは純粋に『楽しむ』という気持ちで試合に臨んでいました。でも今季は期待に応えないと、という責任感が出てきて、結果を出そうという気持ちがあります」

 昨季までとは違う心の持ち方で臨んだ、今季前半の世界王者決定戦。昨季は2位で、今季こそは、という思いがあった。

 しかし現地入りしてから、予想外の不調に陥った。

「僕の中で4回転トウループとトリプルアクセルは自信があるジャンプです。なのに、練習でたまたま失敗したことで自信をなくしてしまいました。いつもだったら気にしない程度の失敗だったのに」

 結果への重圧をかけているからこそ、小さなミスが大きな不安へと変化したのだ。そのまま迎えたショートは4回転フリップで手をつき、回転不足。一方で、今季課題にしている4回転トウループは降り、91.67点で僅差の2位につけた。

「過去にないほど調子が悪かった中では粘りきった、という感じです。むしろ今季やっとトウループが試合で決まったことで自信になりました」

 するとフリーに向けて、練習内容を工夫した。

「朝の練習でトウループは一本も跳ばず、ショートでの良いイメージを持ったまま自信を無駄になくさないようにしました」

 その調整が功を奏し、フリーの本番で4回転トウループを2本とも成功。しかし4回転サルコウや最後の連続ジャンプでのミスがあり、逆転優勝とまではいかなかった。

「自分に呆れています。最近いつも『次の試合頑張りたいです』と言ってますね。このファイナルは結果が求められていて、今年は僕も自覚していた。なのに『こんなに練習してきたのに、失敗したら落ち込むな』なんてネガティブなことを考えていたんです。自分の考え方から変えないとダメです。自分を信じるのって、こんなにも難しいことなんですね」

 そして改めて誓う。

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