高い人材需要のある領域と、主婦が在宅などで柔軟に働けるリモートワークとのマッチングを進める動きもある。今年5月、人材会社WarisとITベンチャーMAIAなど4社が提携し「RPA女子プロジェクト」を立ち上げた。RPAとはロボットにより定型業務を自動化するシステムだ。例えばタイムカードの勤怠記録や申請された経費の交通費のチェックなど、人力で行われてきた作業を自動化することで業務の効率化を図る。

「RPAの設計作業は高いITスキルはいらず、人事や経理などの業務経験が生きる。女性向きの、いま注目の仕事です」(Waris広報)

 同プロジェクトではオンラインで研修やOJTを実施。認定試験を設け、業務委託も始めた。小学生と幼稚園児の2人の子を持つ、前田美智恵さん(41)は研修を経て先月、9年ぶりに仕事復帰した。昨年まで約5年間、商社勤務の夫の海外転勤に伴い、ブラジルのサンパウロで暮らしていた。前田さんは言う。

「RPAの設計作業はリモートでどこにいてもできる。今後、夫が海外転勤になったとしても、例えば日本時間で終了した作業を私が海外時間で引き継ぐなんていうことも物理的には可能。そうなれば夫の転勤に左右されることなくキャリアを継続できるため期待しています」

 今月、20年間のブランクを経て専業主婦が仕事復帰するドラマ「主婦カツ!」がNHKでスタート。企画した中尾幸代プロデューサー(39)は言う。

「女性の生き方は専業主婦か兼業かの二択。キャリアを積んだのち家庭に専念し、再び仕事で輝く『第3の生き方』もあることを提示したいと思いました」

 オーダーメイドスーツを手がける「KASHIYAMA the Smart Tailor」の銀座ガイドショップには、再就職時の面接の服の相談に訪れる人もいる。フィッターの和田奈津子さん(37)は言う。

「学生のような黒のリクルートスーツでは合わないので、大人の体形にフィットした、紺やグレーのベーシックなスーツをお薦めしています」

 前出の大嶋さんは、ブランクのある専業主婦の再就職について次のように指摘する。

「仕事の目標をあらかじめ固定して決めず、できることから始めるのが大事です。自分のスキルや家庭とのバランスを確かめながらスモールステップを踏んでいく。加えて今後は、再就職後も並走してキャリア相談にのるカウンセラーの存在がより重要になってくるでしょう」

(編集部・石田かおる)

※AERA 2018年10月8日号より抜粋