「女性活躍」を掲げ続ける安倍晋三首相だが、新内閣では女性閣僚が1人のみ。財務省時代の同僚からは、その起用に疑問の声も上がる。

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 第4次安倍改造内閣が発足した10月2日夜、都内の飲食店に財務省関係者が集まっていた。当然、あの人の話題になる。

「さつきが大臣か」

 その場にいた皆が苦笑いした。財務省出身の片山さつき地方創生・女性活躍担当相と入省時期が近い財務省OBが話す。

「自分が自分が、というタイプで、まわりが見えなくなる。失言問題を起こさなければいいが」

 片山氏は東京大学法学部を卒業後、1982年に旧大蔵省に入省。2005年に小泉純一郎元首相が仕掛けた郵政選挙に「刺客候補」として出馬し、初当選。歯に衣着せぬ発言からメディアへの露出が多い半面、数々の失言や振る舞いも問題になってきた。最近では7月の西日本豪雨の最中に自民党議員が酒盛りをしていた「赤坂自民亭」問題で、片山氏は自身のツイッターに「安倍総理初のご参加で大変な盛り上がり!」などと写真も公開し、批判を受けている。

 冒頭のOBによると、片山氏の入省直後、大臣が新入生を歓迎する会食があった。新入生がそれぞれ芸を披露する場面で、片山氏は「赤いスイートピー」を歌ったという。

「当時はまだまだ女性官僚が珍しく、若手が遅くまで残業しているなかで、彼女は幹部からの『お呼ばれ』で仕事を切り上げて出ていくことも」
 04年には主計官に就任した。仕事面の評価は高い。

「課長でも気軽に入れない局長室にもフリーパスでした」

 最強官庁と呼ばれる財務省で怖いものなしだったのか、容赦ない物言いが反発も生んだ。

「当時は予算が決まれば主計官が担当省庁の局長室を挨拶回りし、幹部から感謝の気持ちでお酒などをふるまわれるのが慣例でした。予算を配分する財務省の主計官はそれだけ立場が強い。ただ、片山氏は主計官時代、挨拶回りを断られたことがあった。こんなことは前代未聞。相手省庁にきついことを言い、嫌われていたのでしょう」(同前)

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