●日本は「不妊大国」だと知る
吉川さんは今年1月に、ヘルスアンドライツを起業した。きっかけは日本の少子化問題に興味をもったことだ。
「少子化が問題視される中、子どもが欲しくても授かれないカップルが多いことを知りました。日本の未来を支えるのは、これから生まれてくる子どもたちです。何か自分にできることはないかと考えました」
妊娠を望んでもなかなか授かれない「不妊」について調べる中で、「日本が世界有数の不妊大国」という事実を知り、何かできることはないかと思ったと吉川さんは言う。
「ツイッターで不妊や性のことを書いたら、反響が大きかったんです。『今知ることができてよかった』という声も届きました。それだったら、リアルイベントをしてみようと思ったんです。イベント名はキャッチーな『大人の性教育』としました」
●エロではない「性」の知識を
吉川さんが勉強会を開催する背景には、快楽としての「エロ」と、生きるうえで必要な「性教育」に、ブリッジをかけたいという思いがある
「若い未婚男性が普段興味を持っているのはエロ。その人たちにいきなり真面目な性の話をしても通じません」
それではどうしたら興味をもってもらえるか。そう考えたとき、「精子の健康」という点に着目した。
「若い未婚男性はマスターベーションはしても、自分の精子の濃度や運動量について知っている人は少ないです」
見た目は健康そうに見えても、精子も健康とは限らない。男性側が原因で不妊になることもある。
「不妊の原因が男性側にあるかもしれないという意識が芽生えると、自ずとエロではない“性”について興味をもってもらえるのではないか。彼女ができたり、結婚を考えたりしたときのために、知識を身に付けておいてほしい。これから性のリテラシーを上げていきたいです」
(文・写真/アエラ編集部・小野ヒデコ)
※AERAオンライン限定記事