東日本大震災の後、人生ゲームの売り上げは伸びているという。社会不安が続く中、大人から子どもまで家族みんなで遊べる良さが見直されているようだ。

 人生ゲームの一マス一マスには、夢も挫折も詰まっていた。

 小学生の時、人生ゲームでよく遊んだという都内の会社員、松永優花さん(28)は言う。

「歌手やタレント、弁護士など、実際にはなれない職業につけたのが楽しかったです」

 一方、埼玉県在住の女性(43)は、人生ゲームで遊ぶたびに予言めいたものを感じていた。お金がなくなる、離婚する、会社が倒産する、交通事故に遭う……。

「まるで占い。将来を予言されているようで、本気で挽回しようと燃えてました(笑)」

 わが身を振り返ると、億万長者を夢見たこともあったが、人生も半ばを過ぎた今もかなえることはできていない。一攫千金か、破産かという大勝負を挑む気力も薄れてきた。波瀾に満ちた後半生は、ゲームの中で味わうことにしようか。(編集部・野村昌二)

AERA 2018年9月17日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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