伝えたい石ノ森イズムは変わらなくても、時代の変化とともに変わってきたのが見る側だ。

 11作目の「仮面ライダーW」以降は、全体的にハードな展開は抑えめで、明るい作風が増えている。また、戦隊もののようなモチーフも多く見られるようになった。武部さんは言う。

「文化的に尖った人たちが『平成ライダーって子ども番組じゃないんだよ』と語っていたころとは違い、今は次の週も続いて見る継続視聴は3割くらいしかいない。これはライダーに限らずテレビドラマ自体の流れで、何話か見逃しても分かる話が求められています。モチーフも、次のライダーはこれです、と一言で理解できる分かりやすさがあるから。でもそのおかげで、以前よりもファミリー層の視聴者が増えてきました」

 時代とともに変化する平成ライダーだが、子どもの憧れであることは変わらない。第一生命保険が全国の児童(小学6年まで)を対象に行い、1月に発表したアンケート・第29回「大人になったらなりたいもの」では、男の子の部門で15年ぶりに「学者・博士」が1位を獲得した。現在放送中の「仮面ライダービルド」の主人公は天才科学者で、その影響を指摘する声も多い。

 前出の佐々木さんは言う。

「『ビルド』は見応えのある内容で、視聴者からとても良い反響をいただいています。玩具の売れゆきも平成ライダーで最も好調で、昨冬の映画もヒットしました」

 8月4日から公開中の「劇場版 仮面ライダービルド Be The One」では9月から始まる20代目「仮面ライダージオウ」の詳細が明らかに。平成最後のライダーは、少年少女たちをどう熱くさせるのだろうか。(ライター・大道絵里子)

※AERA 2018年8月13-20日合併号