墓じまいを甘く見てはいけない(※写真はイメージ)
墓じまいを甘く見てはいけない(※写真はイメージ)
墓じまいがスッキリわかるフローチャート(AERA 2018年8月13-20日合併号より)
墓じまいがスッキリわかるフローチャート(AERA 2018年8月13-20日合併号より)

 墓じまいを甘く見てはいけない。古い墓を畳むだけでなく、新しい墓を見つける作業も必要で、そのプロセスは自らの人生を深く見つめ直す機会にもなるのである。墓じまいのためには許可証や証明書を集めたり、親族に了承を得たりと様々なプロセスが必要だが、今回はその中から、新しい墓地探して改葬するまでの工程を紹介する。

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 遺骨を取り出す前には「新しい納骨場所」を探しておくことが必要になる。新たなお墓探しは、最もお金がかかり、選択肢が多いため迷いがちだ。全国石製品協同組合が墓じまいを行った30歳以上の141人に行ったアンケートによると、墓じまい後の遺骨の行き場としては「新しく建てたお墓」が42%で最も多い。それに続き、寺院の納骨堂や永代供養墓への改葬が各15%前後。すでにある別の墓への移動が約10%。海洋散骨、自宅・実家に安置など、比較的新しい供養方法が各4~6%台である。

 最もポピュラーな新しい墓の購入には、首都圏なら墓所の使用料、石材・工事費などを含めて150万~300万円もの高額な資金が必要になる。

「東京近郊の霊園などで新たにお墓を購入するなら、最低でも2~3カ所は見学したほうがいいでしょう。お墓の値段などは石材店の言い値に近い面もあるのでいくつかの店の価格を比較検討すべきです」(吉川さん)

 最近では、室内に遺骨を安置する納骨堂も選択肢の一つになる。納骨堂は都心の寺院が建設していることが多く、気軽にお参りできるのが魅力。ロッカー型、室内に石のお墓を設置するお墓型、お参りする場所に遺骨が機械搬送されてくる機械式などさまざまなタイプがある。

「費用は30万~150万円と墓地に比べて安く済みます。さらに安くしたいなら、寺院や霊園内の永代供養システムをとっている合葬墓を。遺骨を骨壺から取り出して共同で納めるタイプ、骨壺か納骨袋に入れて納めるタイプで値段に差はあるものの、1人あたり10万~50万円で済むケースが大半です」(同)

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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