ホスピタリティー産業の行方は?(※写真はイメージ)
ホスピタリティー産業の行方は?(※写真はイメージ)

『日本旅館進化論 星野リゾートと挑戦者たち』(山口由美著)は、国内の旅行産業を支えてきた数々のホテルに取材を重ね、日本のホスピタリティー産業の行方を問う一冊だ。八重洲ブックセンターの川原敏治さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 日本旅館は、西洋型ホテルとの競合、プライベート重視の個人旅行への変化、外国人観光客の増加など、さまざまな問題に直面してきた。本書では、有名旅館やホテルにまつわる証言、事例が紹介され、日本旅館はこんなにも時代の流れに翻弄されていたのかと驚いた。とはいえ、時代に合わせて建て替えるなどの対策は簡単にできないだけに、変化していくのは大変なことだと感じさせられる。

 サービス面の問題もある。日本型の「おもてなし」が話題だが、果たして、そのおもてなしは本当に求められ、海外にも通用するものなのか。そのよさを残しつつ、変化を続けるニーズに対応しようと格闘する姿は、サービス業に身を置くものとして非常に考えさせられる。日本旅館を見ることで、時代の移り変わりだけでなくビジネスそのものの変遷も感じとることができた。

AERA 2018年7月30日号