この考えに同意する場合、次のステップは「のびのび遊べる小学生の時期を受験勉強に費やすことをよしとするか」。「その試練が将来に必ず役立つ」と大いに思うなら「私立進学校」コース。「ある程度の役に立つだろうが、そこまで時間を費やしたくない」と考えるなら「公立中高一貫校」コースだろう。ただし高倍率ゆえ落ちる確率は大。その場合、前出の畠中さんは「せっかく勉強したんだからと安易に私立に切り替えるのは危険。改めて家計チェックを」とアドバイスする。

 家計に余裕があり子どもがAタイプでも、「多様な人がいる環境で骨太に育ってほしい」と考えるなら、公立中→高校受験がベストだろう。そういう子は高校受験で難関校も狙えるはずだ。子どもがB、Cタイプの場合、「面倒見の良さ」や「家庭環境や子どものレベルが似ている安心感」を重視するなら、校風が合いそうな「私立中堅校」がベストだ。

 最後は「家計的に私立中はムリ」なケース。子どもがAタイプで、親が「ハイレベルな仲間との6年間」に重きを置くなら公立中高一貫校。どんな環境でもたくましく育ってほしいと考えるなら高校受験だ。

 全体を通じて最も慎重に考えるべきなのは、まだ子どもが幼く親が関与する度合いが高い中学受験だろう。

「仮に合格しても、上っ面のテクニックしか身についていないと、あと伸びしないリスクもある。周囲が受けるからと見切り発車した親に限って不合格をいつまでも引きずりがち。子どもは自己肯定感を打ち砕かれ、とても傷つきます」(高濱さん)

(編集部・石臥薫子)

AERA 2018年7月16日号より抜粋