「そもそも認可保育園のみに国の予算が集中していることが、働き方が多様化する現状に即していない。必ずしも9時~5時の保育を必要としない人もいる。利用者側に補助金を出すなどして、自由に希望する保育サービスを選択できる方が健全では」

 育児との両立に疲弊せず、かつ一定の収入を得られる働き方として、フリーランスを選ぶ人もいる。企業の事業開発支援を手掛けるカナさん(31)だ。独立3年目、現在第2子を妊娠中ということもあり、稼働時間は会社員時代の半分。だが、徹底して時間単価を高めたことで、年収500万円を実現している。

 大手出版社に勤務し、30歳手前で出産。仕事はやりがいがあったが残業も多く、復帰後は会社では納期に、自宅では家事と育児に追われる日々で「精神的には両立できていなかった」。子どものペースに合わせて働きたい、と社会人8年目で独立した。

 保育の質に疑問を持っていた保育園から、外で思い切り遊べる幼稚園に転園。親の関わりも多い園だが、その分、効率化に力を注ぐようになった。例えば、企画書などをフォーマット化したり、得意分野以外の仕事は外注したりすることで、短時間で質の高い仕事が可能に。さらに期日よりも前倒しで納品することで信頼を積み重ね、単価が2倍になったことも。

「時間単価を上げようと工夫したというより、限られた時間で多くの仕事をこなそうとした結果、上がったという感じ」とカナさん。現在1時間5千~7千円だが、今後は8千~1万円を目指し、子どもが高学年になったら年収800万円以上を目指したい、と意気込む。

 働き方も、子育ての仕方も、柔軟に選び取れる。少子化対策と女性活躍の両立を目指すなら、そんな社会制度の実現が不可欠だ。(文中カタカナ名は仮名)

(編集部・市岡ひかり

AERA 2018年7月2日号