記者(30代)も出産を控え、来たる保活におびえる一人。「会社員vs.フリーランス」でなく、自由な働き方を求める女性に合う柔軟な保育の実現を求めたい(撮影/写真部・小原雄輝)
記者(30代)も出産を控え、来たる保活におびえる一人。「会社員vs.フリーランス」でなく、自由な働き方を求める女性に合う柔軟な保育の実現を求めたい(撮影/写真部・小原雄輝)

「何も分かってない人は『自宅で子どもを見ながら働けていいね』って言うけど、『じゃあやってみて』って言いたい」

 そう語るのは、2児の母であるフリーライターのユウコさん(42)。出産当日まで事務作業に追われ、産後は1カ月で仕事に復帰。足でゆりかごを揺らしながらキーボードをたたいたが、集中したいときに限ってぐずり出す。役所に相談したが、「認可保育園は限りなく難しいですね。一応、応募してみてもいいですけど」と冷たく返された。

 ユウコさんの自治体では、在宅勤務の場合、保育点数が低くなる仕組みだったのだ。結局、隣の市で民間が主宰する保育サークルを活用することに。割高で、かつ週に数日しか見てもらえなかったが、仕事の時間調節が利くので悪くなかったという。

「仕事の最大量が10なら、1か2くらいしか仕事ができない。でも、フリーランスは人脈がモノを言う。一度辞めてゼロから人脈を築くのは時間のロス。首の皮一枚でも続けられてよかったと思います」

「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」の2017年の調査によると、経営者やフリーランスの女性の44.8%が、ユウコさんと同様に産後1カ月以内に復帰している。理由の一つが金銭的な問題だ。来春から国民年金の支払いが産前産後4カ月間免除されるなど改善しつつあるが、会社員と比べると産前産後でもらえる金額の差は300万円近い。

 さらに「保活」問題がある。産休という制度がないフリーランスは産後2カ月以内に復帰しないと無職扱いとなり、入園に不利になったり、ユウコさんの例のように、点数が低くなったりする自治体も。昨年12月、厚生労働省は各自治体に対し、会社員と在宅勤務者との保育点差を設けないよう事務連絡を出したが、強制力は乏しく、すべての自治体で状況が改善されているとは言い難い。

 これはフリーランスだけの問題ではない。在宅テレワークや週に数日から復帰したいと望む会社員も、保活という“椅子取りゲーム”を勝ち抜くためにフルタイム復帰を選び、結果両立に疲れてしまう人が後を絶たない。この問題を訴え、政府への要望活動を行うプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事の中山綾子さんは言う。

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