トランプ大統領なら、こう考える!(AERA 2018年6月25日号より)
トランプ大統領なら、こう考える!(AERA 2018年6月25日号より)

 歴史的な米朝首脳会談から約1週間がたった。成功か、失敗か。いまだ評価が分かれるが、 そこは常識では計り知れないトランプ流。作戦は始まったばかりだ。

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 一般常識や既成概念などにとらわれないトランプ氏だけに、今後のシナリオを、こんなふうに考えているはずだ。米朝首脳会談の記者会見における数々の発言の中に、多くのヒントが隠されていた。

「完全な非核化の実現には長い時間がかかる。その間、いろんなことが起こり得るが、一度プロセスを開始したら、それはほとんど終了を意味する。もう(核を)使えなくなるからだ」

 通常の外交交渉ならば、北朝鮮の体制保証や朝鮮戦争終結を考える前提として、北朝鮮による完全な非核化の実施とその検証がなければならない。しかし、それには、ワシントン・ポスト紙によると、15年以上の期間がかかる。中間選挙どころか、20年11月の次期大統領選にも間に合わない。そのため、トランプ氏は、非核化のプロセスを正式に開始させ、北朝鮮が非核化へ向けて具体的な努力を見せることをもって、「将来の完全履行」に自らがお墨付きを与え、朝鮮戦争終結への交渉に入りたいと考えているはずだ。

「再度の首脳会談が必要となるだろう」

 トランプ氏は時期を見て金氏をワシントンに招くことや、自らも平壌を訪問することを記者会見で示唆した。韓国からの報道によれば、金氏はすでに2回目の米朝首脳会談の平壌開催をトランプ氏に提案したという。また、3回目の首脳会談が9月にワシントンか平壌で実施されるとの報道もある。

 今回の首脳会談で「譲歩」が批判されたトランプ氏だけに、次の会談は平壌ではなくワシントンでの開催にこだわる可能性があるが、そこで北朝鮮による完全非核化の具体的なロードマップを示すなどして、なんとか朝鮮戦争終結交渉の前提条件のクリアを演出したいはずだ。2回目がワシントンなら、3回目は平壌開催となるが、そこで戦争終結に向けた何らかの成果を出すことができれば、中間選挙で共和党に有利に働くことは間違いないだろう。

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