竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
驚きがクチコミを生み出します(※写真はイメージ)
驚きがクチコミを生み出します(※写真はイメージ)

「コンビニ百里の道をゆく」は、47歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 デジタル社会の今、商品の「アピールの仕方」が大きく変わりつつあります。大々的なテレビCMを打つことは、大きな宣伝効果を生む代表的な手法です。それがSNSの普及で誰もが発信可能になると、「クチコミ」が時には、それ以上の効果を生むことも。お客さま同士が商品の情報を共有して、評価し合う。クチコミによってじわじわと広がる宣伝効果は、決して小さくはありません。

 たとえば、食品クチコミサイト「もぐナビ」のコンビニ商品のランキング(4月25日時点)を見ると、スイーツでは、ウチカフェとゴディバがコラボした「ショコラパフェ」が1位、「ショコラマカロン」が2位でした。ホットスナックでは「揚げお好み焼き」が1位、サンドイッチ・パンでは「たまご好きの為のたまごサンド」が2位など、ローソンの商品の多くがベスト3に入っています。ちなみにおにぎりではローソンストア100の「たこ焼おにぎり」が3位でした。

 クチコミで高評価なのは、期待を上回り、食べると驚きが感じられる商品が多い。あのゴディバの本格スイーツがコンビニで手軽に買えるという驚きや、たこ焼きとおにぎりの組み合わせってこんなにおいしかったのかという意外な発見。そんな体験をすると「こんな商品、知ってる?」と伝えたくなる。SNSは同じ趣味嗜好の人が集まりやすく、「たまご好きの為のたまごサンド」など少しマニアックな商品も評価されやすい。定番以外のワクワク系の商品も多いので、安定的にベスト3に入るのだと思います。

 ただ、難しいのはクチコミ評価を狙った商品は、ほとんど評価されないということです。作り手側がクチコミを過剰に意識した商品開発をしても、あまり意味がない。大事なのは明確なコンセプトとしっかりした作り込みで、お客さまに期待以上の「驚き」や「価値」を提供し続けられるかどうか。クチコミ評価にしても、やはり商品開発は試行錯誤の繰り返しなのです。

AERA 2018年5月28日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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