「私が強くいることで勇気づけられる人がたくさんいるから、がんばり続ける(撮影/写真部・東川哲也)
「私が強くいることで勇気づけられる人がたくさんいるから、がんばり続ける(撮影/写真部・東川哲也)

 自分が自分らしくいたい。女優でモデルの水原希子さんの思いはとてもシンプルだ。だが、時として理不尽なバッシングにさらされ、傷つきもする。それでも彼女はひるまない。「男とか女とかじゃなく」。生きていく、一人の人間として。

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 半袖のボーダーニットにパンツ姿でぴょこんとお辞儀をした水原希子さん。とても華奢な姿だけど、彼女がこう断言したとき、全身から躍動するパワーがみなぎった。

「私のSNSのコメント欄に色々な意見をもらうけれど、この議論が起こる状況こそがリアルなんだ。みんなこの世界の大きな波を見て! 波が立つ状況が起こらないと前に進まない、と言いたいんです」

 なんて強さ! 希子さんが若い女性の憧れの的になる理由は、類いまれなキュートさやセンスだけじゃなく、この前進のパワーにある。今年4月、写真家のモデルを長年務めていた女性が「#MeToo」に背中を押されたとして、自身のモデルとしての位置づけについてネットで告白。希子さんも呼応した。

「(ネット上に)メッセージを投稿する前は、やはり迷いました。でも、どんな人に対しても、自分が言いたいことを黙る必要はないなと。モデルの彼女のつらさを少しでもケアしてサポートしたかったし、誰かが勇気を出して行動を起こしたという事実が目の前にあったとき、その行動が流されて終わってしまってはいけないと思ったんです」

 希子さんの投稿にはこんな言葉が綴られている。

<モデルは物じゃない。女性は性の道具ではない>

 こんな当たり前のことを、モデルや芸能関係者が発言することにまだハードルが高い現状を、希子さん自身が一番よく感じている。だからこそ、欧米の「#MeToo」に影響を受けた日本でも、議論を広げたかった。

「女性なら、男性からされた嫌な思いって少なからずあると思うんです。でもそれが当たり前なんだと、自分も含めて、女の人は耐えることに強くなっちゃった。たとえばモデルで言うと、プロだから裸になって当たり前、海外のモデルはみんな脱いでいるから、脱いで当たり前だと思う人も多い。でも、どの業界でも『プロだから、仕事だから、こうしなくてはいけない』というのはすごくまやかしだと思う。私自身は脱ぐことに対して抵抗があまりないほうだけど、やっぱり知らない人の前で脱ぐのは嫌です。それは心地よくない。

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