噛むほどに味が滲み出す…入手困難な豚・鶏肉が味わえる都内の名店 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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噛むほどに味が滲み出す…入手困難な豚・鶏肉が味わえる都内の名店

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鈴木隆祐AERA#グルメ

Bistroむじか/スローフード系のこの手の店は多いが、間にコーディネーターなどが介在する場合も。その点でむじかの「産直」は本物。霜尾共造農園=愛農学園という大きなハブを得たからだ。同店の存在がきっかけとなり、農業について考えを新たにする顧客も多いという。写真は平かしわのコンフィ(1千円)に愛農ポークの幻のリエット(時価)(撮影/山本倫子)

Bistroむじか/スローフード系のこの手の店は多いが、間にコーディネーターなどが介在する場合も。その点でむじかの「産直」は本物。霜尾共造農園=愛農学園という大きなハブを得たからだ。同店の存在がきっかけとなり、農業について考えを新たにする顧客も多いという。写真は平かしわのコンフィ(1千円)に愛農ポークの幻のリエット(時価)(撮影/山本倫子)

地鳥 こま/銘柄鶏の生つくねがこんなに旨くて580円とは! 「房総ジビエフェア」関連では、鹿のポトフもメニューに。これがスパイスをきかせた、独特の味で思わずにっこり。鈴木店長の料理センスは抜群だ。鶏そぼろをたっぷり使った麻婆豆腐も美味で、開口一番注文する常連も。酒類の豊富さと安さにも感嘆した(撮影/山本倫子)

地鳥 こま/銘柄鶏の生つくねがこんなに旨くて580円とは! 「房総ジビエフェア」関連では、鹿のポトフもメニューに。これがスパイスをきかせた、独特の味で思わずにっこり。鈴木店長の料理センスは抜群だ。鶏そぼろをたっぷり使った麻婆豆腐も美味で、開口一番注文する常連も。酒類の豊富さと安さにも感嘆した(撮影/山本倫子)

 肉ブームで注目されるのは牛肉が主だが、実は豚や鶏にもこだわりの逸品がある。貴重な肉を都内で味わえる店を取材した。

【空前の肉ブーム! おいしい肉料理のお店をご紹介】

 養豚で注目は三重県伊賀市の愛農学園農業高校。全寮制で有機農業を学ぶユニークな高校だ。実習の一部で育てている豚が愛農ナチュラルポークとして一部に出回り、高い評価を受けている。年間出荷数は200頭未満。東京ではなかなか入手困難なこの豚を使用した料理を出すのが、板橋の「Bistroむじか」だ。同店は愛農出身で京都の西方寺平で農園を経営する霜尾共造さんから卵や野菜を取り寄せている。そのつながりから愛農の豚を扱う滋賀県草津市の肉問屋、サカエヤを紹介され豚も仕入れるようになった。

「農園に子どもたちと家内が夏季留学でお世話になったのがきっかけです。シンプルに調理するほうが肉質がわかるので、今はローストで提供しています」

 とオーナーシェフの伊藤進平さん。飲食店スタッフをいくつか経験し、給食会社に勤めていたが、15年11月に同店を始めた。見切り発車でかなり苦労もしたが、「この肉と出合い、やっと柱ができた気がした」とも語る。脂はかなり厚みがあるが、冷めた状態でも、すっと歯に通り、甘みが口中に広がる。

 また、むじかでは西方寺平で飼育される平かしわも納入。西方寺平は愛農学園で学んだ生徒を新規就農者として受け入れ、過疎から子だくさんへと再生した伝説の地域だ。そこでわずか3軒の農家が飼っている、門外不出の鶏が平かしわ。大地を踏みしめて育った親鶏で、文字通りの地鶏。これが噛めば噛むほどに味が滲み出す珍味であった。

 この親鶏(ひね鶏)にも着目したのが、千葉・行徳の「地鳥 こま」。店主の鈴木光昭さんは千葉県内でローカルチェーンを展開していた会社の社員だったが、同社はすでに解散。しかし、店名を継承し、みやざき地頭鶏(じとっこ)の炭火焼きを軸に、多彩なメニューを手が届く範囲の価格で提供している。ことにさつま知覧どりのひねを使った生つくねの歯応えは抜群。噛むほどに滋味が溢れ、添えられた地卵の黄身に浸して食べると、焼酎が止まらなくなる。

 さつま知覧どりは正確には地鶏ではなく、種鶏(ブロイラーの親鶏)ないしレイヤー成鶏(採卵用鶏のいわゆる“廃鶏”)だが、飼育期間は450日から550日。平飼いで伸び伸び育ち、コラーゲンや旨さの決め手となるアミノ酸を多く含む。適度な運動をすることで脂の乗りもよい。

「看板の地鳥もも焼きでも出していますが、たたきや刺し身類はこちらのみ。このコリコリを地元の人は好む」と鈴木さん。

 ところで、千葉県でも野生鳥獣による農作物被害が問題となっている。その対策として県を挙げ、今年1月末から1カ月間、「房総ジビエフェア」と称し、捕獲された猪や鹿の肉の消費拡大にも取り組んだが、こまも同フェアに参加。その際仕入れた鹿肉にはストックがあり、しばらくメニューに加えている。レア気味に焼かれた肉は癖もなく軟らか。継続して提供が叶えば、新たな看板ともなりそうだ。(ジャーナリスト・鈴木隆祐)

AERA 2018年4月16日号より抜粋


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