5万人の学生を抱える早稲田大学では、14年に「発達障がい学生支援部門」を立ち上げた。17年度は98人の学生を支援した。保健センターの井上真郷所長・学生部副部長は、


「傾向のある学生も含めれば、学内で1%にあたる500人ほどいてもおかしくないと考えています」

 と話す。学内には、学生生活全般について同センターの学生相談室があるほか、修学支援の窓口として障がい学生支援室がある。定期的に面談を行いながら配慮部分を調整するほか、学生自身による対処法も一緒に検討する。

 就活支援はこうした活動の延長線上にある。数年前からは、学生の特性が分かっている学生相談室・支援室とキャリアセンターが連携し、学生と企業の間に入って直接マッチングするという新たな取り組みも始めている。

 具体的な仕事内容と学生の希望・個性をみて個別に紹介し、双方が前向きなら職員・学生・企業が一緒に面談する。担当職員は、企業側が特性を理解してくれているか、合理的配慮を含めた受け入れ環境が整っているかを確認する。実績はまだ数人程度だが、今後も積極的に進めていく予定だという。

 佐々木ひとみキャリアセンター長が就活支援への思いを語る。

「せっかく大学で伸ばした専門性を、障害というくくりだけで安易に失わせたくない。少しでも本人が能力を活かして、適切な配慮を受けながら活躍できるよう、企業とも協力していきたい」

 07年にいち早く支援室を立ち上げた富山大学では今春、発達障害学生の46%が一般枠で就職、21%が大学院進学を決めた。好調な進路状況を支えるのは、入学直後からの支援体制だ。

 同大では学生の事務窓口や保健管理センター、教職員とも情報共有し、発達障害の可能性のある学生がいたら支援相談室に招く。週1回のペースで面談しながら修学上の問題の解決方法を一緒に考え、配慮点などを教職員に伝える。本人にはレポート課題などの優先順位のつけ方や先生とのやりとり方法を、ほぼマンツーマンで指導する。

 例えば、高校側から支援の引き継ぎを受けていた男子学生は当初、渋々面談に訪れた。そのうち自分の受けていた授業が登録科目でないことが分かったり、カフェでパソコンに夢中になっているうちに授業に行きそびれたりといった問題が次々に生じ、自ら支援室に通うようになったという。

 学生は相談員とともに一つずつ対処法を身につける一方、支援室が週1回開いている発達障害学生のランチ会にも参加し、日々のつまずきを互いに振り返りながら会話の練習も重ねた。そして最終的に、一般枠で就職した。

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