生保の販売チャンネルは、自社の営業職員、銀行の窓販、乗り合い代理店に大別される。「長い契約となる商品の性格上、自社職員による対面営業が中核であることに変わりはない」(別の幹部)とされるが、同時に「マルチチャンネルの時代」(同)との問題意識も強い。

 その象徴が保険ショップと呼ばれる「乗り合い代理店」だ。当初、乗り合い代理店は乱立し、手数料率の高い保険会社の商品を優先して販売するなどの弊害も指摘されたが、現在は、大手生保と資本関係を結び、一部は100%子会社化されるなど共存共栄の道を歩んでいる。

 その乗り合い代理店に昨年末、激震が走った。ガイドラインが改正され、生保が乗り合い代理店に支払ってきた「上乗せ報酬」を顧客に説明しなければならなくなった。実は乗り合い代理店には、販売手数料のほかに、「マーケティングコスト」「業務委託費」「支援金」などの名目で上乗せ報酬が支払われている。これらのコストは最終的に顧客に転嫁されることになるため、説明すべきだとされた。

 乗り合い代理店に出資する大手生保には、代理店に対して自社商品の特性や販売ノウハウを提供などすることで、商品販売をサポートする営業担当者「ソリシター」がいる。乗り合い代理店は、「自社の商品を売ってもらえる利点だけでなく、他社はどのような商品を売っているのか、マーケティングのメリットも大きい」(前出の幹部)という。ここで得られたデータは商品開発に生かされる。

 さらに生保のチャンネルは、スマホへと進化しつつある。「スマホは顧客データが取れる。これを保険料に反映でき、商品もカスタマイズできる。従来のマス商品から年齢や性別といった細分化されたオーダーメイドの商品の訴求が展望される」(同)。契約の場をめぐる争いは今後も激しくなりそうだ。信頼して契約できる人を探しておきたい。(経済ジャーナリスト・森岡英樹)

AERA 2018年4月9日号