損失の影響についてピンとこないようなら、360万円を単位に考えてみましょう。65歳から95歳まで30年(360カ月)あるとすると、運用で360万円損をすると毎月使えるお金が1万円ずつ減ることになります。これに耐えられるなら、その人は360万円の3倍である1080万円までリスク資産に投資しても大丈夫と判断できます。老後、月に2万円使えるお金が減ってもいいなら、2160万円投資してもいいわけです。

 リスクを取る金額を決めたら、国内外の株式に投資するインデックス投信を買いましょう。販売手数料が無料で、信託報酬が高くても0.3%以下のものを選んでください。いかなる運用商品であっても年間に0.5%以上の保有コストがかかるものは適切ではありません。20年保有するとざっと資金の10%を手数料として取られることになります。それこそ「人生100年時代」では長期にわたって運用をしなければならないのでこうしたコストには敏感になる必要があります。

 お金の置き場所としては、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、税制優遇が受けられ有利になります。

 一方で、リスクを取らないお金は、主に個人向け国債(変動金利型10年満期)で保有しましょう。

 最適な資産運用と、寿命の長さに関連はありません。誰が何を言ってこようと、自分の判断で効率的な運用を続けていればよいのです。

(構成/ライター・森田悦子)

AERA 2018年4月2日号