少女小説、ライトノベルの元祖と言われるコバルト文庫の創刊から40年、発刊総数約4500点の歴史が詰まったカタログ『コバルト文庫40年カタログ』が発売された。著者・烏兎沼佳代さんに、少女文化研究の基礎資料としても使える同著に寄せた思いを聞いた。
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2016年に創刊40周年を迎えた集英社のコバルト文庫。少女小説の先駆けとして誕生し、常にそのジャンルを牽引してきた文庫レーベルだ。こうしてその歴史を振り返ると、実にさまざまな作品、作家を包含していたことに驚かされる。筆者の烏兎沼佳代さんもコバルト文庫との出合いは「少女小説の代名詞になる前の作品」だったという。
「リアルタイムで読んでいた時は、コバルト文庫ということをそんなに意識していなかったんです。佐藤愛子先生の『困ったなア』などの一連の作品を何となく読んでいて、兄の本棚の『ビートルズグラフィティ』をいい本だと思っていた記憶がありますね」
あとがきにも書かれているとおり、烏兎沼さんはこの本を作りながら「コバルト文庫が40年かけてはぐくんできたものって何?」と問い続けていた。しかし、その答えは現在も出ていないという。