展覧会場のデザインと図録のブックデザインを担当した名久井直子さんは言う。

「数十年分の原画を並べてみると、画風がどんどん変化している。お二人がつねに時代を先取りして、新しい表現に挑戦してきたことがわかります」

 最後に「描くこと」への思いを二人に聞いてみた。

「小さい頃から絵を描くのが好きで、気がついたらマンガを描いていました。疲れたな、と思うこともあるんですが、いざ描き始めると没頭して、夢中になってしまう。描くことにはそうした魔力があるんだと思います」(いくえみさん)

「しんどかったりつらかったりしたとき、マンガを描くことでその気持ちをぶつけることができた。描くことは私にとって唯一無二の親友に想いを伝えることです」(くらもちさん)

 最先端を走り続けてきたクリエイター二人の軌跡を、ぜひ現物で確かめておきたい。(ライター・矢内裕子)

AERA 2018年2月26日号より抜粋