階級はあまり動かない(AERA 2018年2月26日号より)
階級はあまり動かない(AERA 2018年2月26日号より)

 給与やその他の待遇など、様々な面で差がある正社員と非正社員。努力すれば非正社員でも道が拓けるのでは……と思いきや、そう簡単な話ではないようだ。

 賃金、ボーナス、交通費、福利厚生。多くの職場で正社員と非正社員につけられた「差」は、業務内容や能力、責任に見合ったものか。業務内容に差がない場合も少なくないようだ。ならば、責任がそれほど重いのか。

 小売業の契約社員の女性(39)は、正社員との格差を訴える。

「業務は正社員と変わりませんが、契約社員は組合や互助会には入れず、組織名簿に名前も載らない。正社員なら受けられる研修や記念式典の間は留守番です。正社員が育休や産休を取っている間、うつから復職した正社員が十分には働けない間、仕事の埋め合わせをするのは私たち契約社員。職場であからさまな差別はなくても、日常的に差をつけられていると感じます」

 この女性は、新卒で大手メーカーに正社員として就職したが、数百人規模のリストラに遭い、09年に退職。2カ月後に現職に就いて、今年で9年になる。

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