「階級間の移動は、一部を除いて少なくなりつつあり、固定化が進んでいます」

 父親の職と本人の職を調べたところ、階級を資本家、新中間階級、労働者階級と分けてみたとき、父親の階級とその子どもの階級では、あまり動きがないことが分かってきた。

「資本家は全体の約7%に過ぎませんが、資本家出身の場合、資本家になった人は約41%。新中間階級や労働者階級では約2%程度です。新中間階級出身者は、約57%が新中間階級に、約31%が労働者階級になっています。労働者階級出身は、約56%
が労働者階級です」(橋本教授)

 時代の変化も大きい。

「以前は大卒者の多くが、新中間階級でした。60年代生まれの大卒者の約66%、新中間階級出身に限れば約82%が、新中間階級になっています。ところが、70年代生まれでは、新中間階級になった人は約57%に低下する。いい大学からいい会社へ、4大を出ればそれなりの会社の正社員へ、という動きは、すでに幻なのです」(同)

 そのことを、就職氷河期世代をはじめ、多くの人々は、身をもって知っている。

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