都会的であることを「売り」にする地域で生き残れるのは地方でせいぜい1カ所。東北地方であれば、仙台市だけで十分だという。新しくて豪華な建物は当然テナント料が高くなり、全国チェーンの店舗ぐらいしか入れない。大企業はKPI(重要業績評価指標)が明確なので、数値目標に達しなければすぐに撤退してしまう。大企業でさえ支えきれないテナント料を地元の個人店や中小企業が払えるはずもない。結局、空き店舗が増え、運営母体は倒産。仕方がないので、行政が借りる──。

「結局、何のための地域活性だったのかわからなくなりました。そもそも大きくて立派なハコモノをつくって都会的な生活を演出しても、UターンやIターンを考えている人たちは魅力をまったく感じない。東京的な場所に住みたい人は、東京に住みます」(飯田准教授)

 アウガが経営破綻した理由を青森市は、

「オープン当初から的確な経営見通しを示せなかった」(市経済政策課)

 などと回答。

 14年の「地方創生」の大号令の下、地方創生政策が立ち上がり各地で取り組みが進む。しかし、地方創生と、それ以前から続く地域再生の取り組みの多くは目標を達成していない。(編集部・野村昌二)

AERA 2018年2月19日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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