豊後高田市地域活力創造課課長の川口達也さん(50)(写真:豊後高田市提供)
豊後高田市地域活力創造課課長の川口達也さん(50)(写真:豊後高田市提供)
「昭和の町」をボンネットバスが周遊する。町は映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のロケ地になった(写真:豊後高田市提供)
「昭和の町」をボンネットバスが周遊する。町は映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のロケ地になった(写真:豊後高田市提供)

「住みたい田舎」ランキングにたびたび登場する、移住者に人気の町が大分県にある。その人気の秘密はどこにあるのか、地方創生を支える裏方に話を聞いた。

【写真】映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のロケ地になった“昭和の町”商店街

豊後高田市は、「住みたい田舎」ベストランキング(宝島社)でも毎年のように取り上げられており、移住者に人気が高い。その窓口、豊後高田市地域活力創造課課長の川口達也さん(50)のもとには、毎日のように移住希望者が相談にやってくる。移住後も課の職員を慕って顔を見せにくる人もいるのだという。

「大事なのは地域の本気度を伝えていくことです」

 市の目玉は“昭和の町”だ。シャッター通りを、かつて国東半島の商業の中心として栄えた昭和30年代をテーマに再生したもので、大勢の観光客が訪れる。

「この商店会を見て活気があるまちだと移住を決める人も多いんです」

 教育にも力を入れている。市には塾がなかったため、都会と同じような学力サポートが受けられるようにと、小中学生のための市営無料塾「学びの21世紀塾」が開校した。

 昔からこの地に住む住民も移住者を応援している。

「山間地域にある田染地区では、地域自らが、市と協力して移住希望者に空き家を紹介しています」

 内見したい移住者には田染地区の住民が説明をする。昭和の町のPR効果、そして手厚い支援もあって、4年連続で社会増(行政・民間の取り組みによって転入者数から転出者数を差し引いた社会増減数を始点年の総人口で割った「社会増減率」の増加)を達成した。

「この5年で10歳未満の子どもの割合が増えています。今後、人口の構成比が変わってくるかもしれません」

(編集部・野村昌二、柳堀栄子)

AERA 2018年2月19日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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