――今回のF1の決定は日本にも何か影響があるでしょうか

 波紋を広げた後ですので、廃止ではなくいろんな人に参加の場を広げる、という方向にいくといいですよね。私もいろいろ取り組んでいるのですが、昨年、ドライバーも主要スタッフも全員女性という国内初の自動車ラリー「L1 RALLY in 恵那2017」を岐阜県で開催したときは、グリッドガールではなく「グリッドボーイ」を起用しました。モデルの男性にタキシードを着てもらったんですが、日本では滅多にないということもあり、レーサーにも約8千人集まった観客にも人気でしたね。他にも子どもを持つお母さんや94歳のおばあちゃんまで、いろんな人にグリッドを担当してもらいました。もちろん衣装も過激ではないデザインにしましたよ。

 他にもモータースポーツにおける女性の活躍推進を目指した「Women in Motorsport」プロジェクトを15年から自動車メーカーのマツダに最初に賛同いただき行っております。この3年間では、組織や枠組みを超えて他メーカーや業界を超えた賛同を得られるようになりました。これまでは女性レーサーの育成がメインでしたが、第4期生となる今年は、エンジニアやメカニックなど自動車に関わるあらゆる職種や18歳以下の育成にも注力するつもりです。

 人生100年時代の今、モータースポーツは、性別や国籍、年齢を限定しない開かれたスポーツであってほしいと思います。女性も高齢者も障害者も幅広い方に参加して楽しんでもらえるような文化を築きながら、現在のグリッドガールやレースクイーンが抱えているような課題点を克服していけたらいいなと思います。

(AERA編集部・竹下郁子)

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